高専と言えば就職率の高さが注目され「高専卒業=就職」というイメージがあるかもしれません。
しかし秋田高専電気・電子・情報系の卒業生の進路を見ると30~40%が進学しています。
大学進学を考えている中学生にとっては工学系であれば高専から大学に進学するという道もあります。
県外に目を向けると高専が大学進学のための進学校のように考えられている地域もあります。
ここでは大学へ進学することを考えている学生中学生のために電気・電子・情報系からの進学に関する情報を提供します。
進路に対する考え方
高専卒業後の進路は就職するか進学するかの2つに1つです。特に低学年ではどちらにするか悩んでいる学生もいるでしょう。
就職することの利点
就職することの利点は早い時期から働いて収入を得ることだと思います。
就職を希望する学生は高校・大学と比較しても高い高専の求人倍率を活かし周到な準備をして就職活動に備えてください。
ライバルは大学・他高専の電気情報系の学生になります。 専門知識や経験だけでなく就職活動では人間性やコミュニケーション能力も問われます。 就職を意識しているのであれば常に自己の向上に努めましょう。
進学することの利点
進学することの利点は高い専門性や研究能力を身に着けることができることだと思います。
秋田高専にも専攻科があり多くの学生が進学して研究に打ち込んでいます。高専卒業後に大学に編入学する方法もあります。
その先の話をすれば工学の分野では大学卒業後大学院に進学する学生が当たり前のようになっています。 研究・開発に関する仕事に従事したいと考えているのであれば大学院まで進学することをお勧めします。
勉強したくないから就職働きたくないから進学という消極的な進路選択を考えている学生もいるかもしれません。
日頃から努力することで自分に自信がつき自信がつくことで初めて自分の将来を前向きに考えることができるようになります。
より積極的に自分の進路について考えられるようにするためにもまずは目の前の課題からコツコツ取り組むことをお勧めします。 千里の道も一歩からです。
学士号を得るためには
高専卒業後学士の学位を取得するためには2つの方法があります。それぞれに利点があります。
1.専攻科へ進学
- 高専卒業後に専攻科に進学することにより更に2年間の専門教育を受けます。
- 電気・電子・情報系からは専攻科生産システム専攻に入学します。生産システム専攻は機械工学と電気情報工学を複合・融合した教育を行います。
- 専攻科の入学試験は推薦と学力があります(最近の実績を見るとほとんどの学生が推薦入学します)。
- 学位取得のために学位授与機構へレポートの提出が求められます。
- これまでの環境を継続して勉強や研究に打ち込むことができます。
- 学会発表などの研究活動を大学生と比べても早い時期から行うことができます。
大学へ編入学
- 高専卒業後に大学に編入学することにより大学卒業時に学士の資格を得ます。
- ほとんどの大学では3年次に編入学します。大学によっては2年次編入になる場合もあります。
- 編入学試験には推薦と学力があります。推薦で合格するには高専での成績をキープする必要があります(少なくても10位以上が望ましい)。
- 学力試験で編入学するには入試のための勉強が必要になります。
- これまでと学習環境を変え新天地で刺激を受けることができます。
- 最終学歴を大卒にしたい人にはお勧めです。
平成17年度以降の編入学した実績のある大学
平成17年度以降の編入学した実績のある大学は以下の通り
(大学名をクリックすると大学のホームページが開きます)。
国立
私立
専攻科大学ともに学力で受験する場合4年から5年になる春休みから本格的に受験勉強を始める学生が多いように見えます (2月は定期試験があるためそれどころではないでしょう)。 その場合受験の時期は専攻科で6月大学だと7~9月なので受験勉強の期間としては半年程度になります。
試験科目は大学によって異なりますが数学英語専門基礎科目(電磁気回路など)を勉強することになります。 いずれも高専の授業で学習する内容になるので普段からきちんと勉強することが重要です。
高専から進学することの利点
ここでは高専から進学することの利点を普通高校から大学に進学した場合と比較して考えてみます。 大学は国立大学を想定しています。
1.経済的な利点
平成23年度の本校の試算によると学士号を取得するためにかかる経費は以下の通りです。
- 高専→専攻科へ入学して修了 約155万円
- 高専→大学へ編入学して卒業 約230万円
- 普通高校→大学へ入学・卒業 約248万円
2.受験に関する利点
専攻科入学試験または大学への編入学試験を学力試験で受験した場合受験勉強の期間試験科目入試倍率を考えると高校から大学入試を受ける場合に比べてハードルは低いと思います。
しかも高専での普段の勉強の理解度が高ければ高いほど受験勉強ではより有利になります。 日常的に授業で行われている小テストレポート年4回の定期試験に高いモチベーションで取り組むことが重要です。
以上の理由から工学系の大学への進学を希望しているのであれば高専から受験することも検討する価値は十分にあると思います。
なお電気情報工学科からの進路状況および進学先はこちらにまとめております。
大学院への進学
前述のように工学系では大学院(修士課程または博士前期課程)に進学することが特別なことではなくなっています。 高専から大学院へ進む経路としては2つ考えられます。
- 高専→専攻科→大学院
- 高専→大学(編入学)→大学院
大学院に進学する利点
大学院に進学する利点はこれまでよりも高度な研究を行うことできること研究活動に専念できることではないかと思います。 大学院まで進むと最小限の講義だけ受け研究が中心の学生生活になることでしょう。 大学の研究は大学院生によって支えられているといっても過言ではありません。 研究室に配属され研究テーマが決定すれば研究生活のスタートです。 学会発表の機会も多くなり研究室によっては国内にとどまらず海外での発表もあるでしょう。 2年間の修業年限のうちに所定の単位研究成果が得られたら修士論文を提出して卒業します。 このとき修士号を取得します。 卒業後の進路は就職する学生が多いと思いますが大学院の博士課程に進み博士号取得を目指してさらに研究を続ける学生もおります。
専攻科から大学院に進学する方法としては推薦と学力があります。大学によって事情が異なりますので確認が必要です。詳しくは各大学のホームページをご覧ください。
平成17年度以降の専攻科修了後に進学実績のある大学院
平成17年度以降の専攻科修了後に進学実績のある大学院は以下の通り
(大学名をクリックすると大学のホームページが開きます)。